診療報酬 医療崩壊阻止の転換点に
鳩山政権が診療報酬の改定率を全体で0・19%のプラスにすることを決め、2010年度予算案に盛り込んだ。
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200912273987.html
小泉政権以降の医療費抑制路線のもとでマイナス改定が続いており、プラスは実に10年ぶりだ。これも政権交代の効果で、医療の疲弊に歯止めをかける一歩にしたい。
改定では薬価部分を引き下げ、医師の技術料などにあたる本体部分を増やす。なかでも開業医が営む診療所への充当は小幅にとどめ、勤務医を抱える病院を手厚くする。
救急、産科、小児科などの入院初期の医療に充てようという考えで、医師不足の深刻さを思えば妥当だろう。増額分をこれら診療科をあずかる医師の待遇改善に生かし、激務に報いることが肝要だ。
もっとも、厚生労働省がめざした0・35%程度からすると、上げ幅は物足りない。
民主党はマニフェスト(政権公約)で増額を約束した。が、税収が予想以上に落ち込み、予算組み替えも不発に終わったなかで、かろうじてプラス改定の「名」をとった印象が強い。国民の期待にこたえるには迫力に欠ける。
それでも、財務省が示した3%削減の査定方針をはね返した点は評価できる。
県内の公立病院では主に医師不足から診療科の休止が続出、民間譲渡や公設民営化の動きも出て住民に不安を広げている。こうした悪循環もなんとか食い止めたい。
次の焦点は、個別の点数を決める中央社会保険医療協議会(中医協)の作業だ。
厚労省の調査によれば、開業医である一般診療所の院長の収入は08年度、病院勤務医の1・7倍にのぼった。背景のひとつに再診料の格差がある。前回改定では勤務医を引き上げたが、自民党や日本医師会の圧力もあって開業医はすえおき、格差が残った。
診療報酬引き上げに限界がある以上、医師不足の顕著な部門へ人材を振り向けるうえで配分見直しは不可避だ。
長妻昭厚労相は、開業医中心の日本医師会執行部を中医協の委員から排除した。鳩山政権がめざす再診料一本化の布石だが、同時に開業医への安易な負担転嫁にしない配慮も必要になる。
開業医もかかりつけ医などとして地域医療を担う。救急当番病院に応援勤務する仕組みを試験導入した今治市のような例もある。開業医と勤務医を対立的にとらえるのでなく、あくまで実態をふまえて負担と報酬のバランスをいかに適正化するか。その視点を忘れるべきでない。
医師不足や地域医療の崩壊には多様な要因がある。医学部の定員増加や臨床医師研修制度の見直しをはじめ、前政権当時からとりくむ対策をふくめた総力戦で、医療の立て直しに手を尽くしたい。
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