“負担疲れ”が影響する 米国民の医療と環境への考え
ホリデーシーズンなのに嫌なことばかりと感じる人の多いことが調査で明らかに。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091209/200063/
感謝祭といえば、いまあるものに満足し、世界をより良くするにはどうすればよいかを考える機会であるはずだ。だが今年はそれも簡単にはいかない。
我々の生活を脅かしている数々の問題を解決するのに必要な、意志、コンセンサス、組織が我が国にあるのかどうか、実に疑わしい。幾つかの点について当社が調査を行ったところ、これらの疑念が強まる結果が出た。
【記事リンク】
・America's Largest Charities By Donations
(寄付による大規模チャリティー)
・In Pictures: Icy Hot Spots
(冷たく熱いスポット)
・In Pictures: The Year's Biggest Data Disasters
(今年最悪の情報漏えい事件)
・In Pictures: Ten Emerging World Cup Players
(これから伸びるW杯プレーヤー)
・In Pictures: The Most Outrageous CEOs Of 2009
(今年一番呆れたCEOたち)
バラク・オバマ大統領は就任に当たり、経済、医療保険制度改革、気候変動、国防問題に取り組むことを誓った。だがこれまでのところ、大した成功は収めていない。
景気刺激のための法案可決と銀行の救済により、経済がさらなる苦境に陥ることは避けられたようだが、失業率は10%に達している。オバマ大統領は医療保険制度改革法案の作成を議会に委ねた。法案が議会を通過する可能性は依然として高いが、非常に多くの利益団体や上院議員の面々が対立する要求を出しており、最終的に合意に達したとしても、保険加入比率の伸長とコスト削減という目標を達成できない可能性がある。
アフガニスタン問題に関してオバマ大統領は、常に不安定な地域を安定させるための人的・資金的なコストを削減するという難しい道筋を模索しているが、有効な手立ては持っていないように見える。
気候変動問題への取り組みも、官民の利益が相反しており、同様に難しい。有権者を対象に二酸化炭素排出量の削減に関して最近実施された調査では、この官民の分断が露呈した。医療保険制度改革について今年初めに行われた調査と同じく、行動への欲求はあるが、それを実現するために多くの費用を負担する(負担するならばだが)意志はないという結果が出たのである。
Zogby Interactiveが今月初めに2293人の有権者を対象に行った調査では、次のような結果が出た。
- 48%の人が、ほかの大国が二酸化炭素削減策を実施していようといまいと、米国は削減のため行動すべきと同意した。だがそういった行動を一切すべきでないと考える人も26%いる(他国が行動している場合には米国もすべきと考える人は17%。)
- 52%が、米国は他国より多くのエネルギーを消費しているので、より大きな排出量削減義務があると答えた
- 有権者は排出量削減を重要な問題と考えているものの、45%の人が、削減のための法律制定の結果としてエネルギー費用を今より多くは負担する意志がないと答えた。27%は今より多く負担する意志があるとしたものの、その金額は1世帯当たり月わずか10ドルに過ぎない
医療保険制度改革について、Texas大学とZogby Internationalが6月に共同で行ったオンライン調査でも同様の結果が出た。半数を若干上回る(53%)が、医療を受ける権利は人権のひとつであると考え、また42%が、受診の権利は医療費削減や医療の質の改善よりも重要と答えた(医療費削減や医療の質の改善のほうが重要と答えたのはそれぞれ28%)。だが国民皆保険を達成するための増税を受け入れると答えた人は39%に止まった。
また多くの人は、高額医療の制限、保険免責金額の引き上げ、医療費の自己負担率引き上げ、高齢者向け医療保険制度の対象年齢の引き上げ(65歳から66歳)、高額健康保険への課税、医師や医療機関に支払われる診療報酬の引き下げなどのコスト削減策にも反対している。だが一方で、医療費の拡大は米国企業にとって打撃だと考える有権者も79%いる。
米国民は以前にも増して不安や不信感を募らせている。家を失った人、仕事を失った人、生活水準の低下に直面する人など、すべての人が国の経済の影響を受けているのだ。生活を切り詰めてきており、「負担疲れ」とでもいうような疲弊状態にある。
もうひとつの要素は、庶民が犠牲を強いられる一方で、ぼろ儲けしているように見えるウォール街の主要プレーヤーを、政府が救済したことで強まった主要国家機関全体に対する不信感である。国民の誰もが犠牲を払っているのだと人々が本当に信じているのであれば、国民皆保険にしろ二酸化炭素排出量の削減にしろ、コストを負担してもよいと考える人がより多い結果となったのではないだろうか。
だがもしそうであっても、大きな諸問題を解決するにあたってもうひとつの障害が存在する。思想的対立である。上記で挙げた二酸化炭素排出の問題では、民主党員と共和党員の見解が180度異なる。両極端に位置する者同士で、何が真実かという点でさえも意見が一致しないのだ。
右派(共和党員)の人々の多くは、二酸化炭素排出が気候変動の原因であるとは考えていない。米国の医療制度は世界最高であって、特に、彼らが政府の介入と見なす今回の制度改革は必要ないと信じている。一方、左派(民主党員)の人々の多くは、気候変動によって将来の文明が脅威にさらされており、思い切ったアクションが必要と考える。また医療保険制度についても彼らが望むのは大幅な改革であり、反対派が恐れる国営の医療制度を歓迎している。
大部分の国民はその両極端の中間に位置しており、妥協点を探すことは厭わないであろう。だが既得権益を握る者たちは、選挙の票や献金をちらつかせて圧力をかける。
こうした例は枚挙にいとまがない。エネルギー費用は農村部のほうがはるかに高いため、大量輸送機関に依存する都会の住民よりもより大きな犠牲を強いられる。燃料やエネルギーの生産企業が望むのは自らの利益を守ることであり、これは健康保険会社や医薬品会社と同様である。また労働組合は組合員への各種給付金に対する課税を嫌い、弁護士は医療過誤訴訟の規制に反対する。
米国政府には、こうした利害対立を調整する能力を有する機関はないように見える。特に米国上院はそうだ。重要な法案の議会通過に関する上院の新たな規則によると、最終法案を通過させるのには過半数の51票で足りるものの、討論終結の動議を可決するには60票が必要である。
オバマ大統領は「チェンジ」を約束したが、あの歴史的な選挙をもってしてさえも、国を停滞させている社会的・政治的惰性を変革することはできなかったようだ。
John Zogby氏はZogby Internationalの社長兼CEOであり、『The Way We'll Be: The Zogby Report on the Transformation of the American Dream』の著者。Forbesに毎週コラムを連載している。
from Forbes.comは、米Forbes.comに掲載のコラムをnikkei BPnetが翻訳提携の下で翻訳して掲載しています。ビジネスやITに関する記事を中心に毎週2本のペースで掲載の予定です。
©2009 Forbes.com Inc. All rights reserved.
皆様からお寄せいただいたご意見
他人事ではない。
日本人の感覚も似たり寄ったりで、
「何かをしなければいけないが、負担は少なめに」
というのがほぼ真ん中の意見と言っていいだろう。
ここで問題なのは、これらのさまざまな負担に対して
「義務だから」「仕方ない」「我慢しろ」という姿勢で
どこまでもやっていたら、どんな良い政策だろうと
国民はとてもじゃないがやる気を削がれ、トータルで
いうと経済はさらに落ち込み、そうなると余計
「ここまで我慢してさらに負担か!」という怒りに
かわると言うことだ。
悪循環が目にみえるようだ。
環境への負担、介護等社会福祉の負担。
現政権にはそれらへ対策を売りにして色々やろうとして
いるが、そこには
「国民の野望」という、上へ向かう思想がない。
環境がこうなったのは、年寄りたちが好き勝手にしたせいだ。
介護が必要なのは、もちろん年寄りたちだ。
その年寄りたちが人数多いのを良いことに
「自分達が散らかしたモノを片付けろ」
「自分達を世話しろ」と言い
それの研究や事業をやればいいと言い放つ。
これで若い世代がやる気が出たら大したものと言える。
そこには、無謀なまでの探究心や
過去な囚われない新しいものを作る
というスタートラインや計画などは何も示されず
(それどころか、すぐに役に立たなければ仕分けされる)
ただただ、後始末のことだけを考えろと言われる。
環境、社会保障。
それらが必要だと言うことはわかる。
しかし、それが必要になったのは誰のせいで、だからこそ
それ以外の可能性を若い世代に示すのがそうしてきた人間の、
老世代の勤めのはずだ。
それを示さず、過去の世代のツケを払うことだけを言い続ける限り、
末期の社会主義のように弛緩し、次の世代を残すことに意味があると
は思わない若者たちだけが増えていくだろう。
今必要なのは、無謀なまでの過去に囚われない野望だ。(ななしa)(2009年12月09日 17:28)
スポンサードリンク