ペットにも「保険証」「母子手帳」 どうする!?高額医療費
「保険証を出してください」。病院でおなじみのせりふを、動物病院で耳にするようになるかもしれない。世の中が不景気でも少子化でも、犬や猫などのペットを飼う人は右肩上がりに増えている。室内で飼うケースも多いことから、長生きになった分の医療費もまた右肩上がり。「手術したら15万円もかかった」「治療してやりたいのに、お金がない」。こんな状況にならないために飼い主ができることは?
http://mainichi.jp/select/wadai/everyone/news/20090608mog00m040037000c.html
ペットフード協会の調査によると08年度、日本でペットとして飼われている犬猫は約2684万匹。前年度比で約131万匹増えた。このうち、シニアと言われる7歳以上の犬猫が約半数で、高齢化も進んでいる。実は、動物も人間と同じように、年齢によってかかりやすい病気があるという。アニコム損害保険(東京都新宿区)に07年に請求があった犬の疾病約36万件のうち、最も多い皮膚科疾患は0歳~2歳の間に急増し、年齢が上がるにつれて減少。逆に循環器の疾病やがんは年齢が上がると増える。
高度な医療が必要な疾病もあるが、診療費は獣医師によって幅がある。日本獣医師会の調査によると、全身麻酔は1000円未満~3万円以上まで、腫瘍(しゅよう)を摘出する手術も5000円未満~10万円以上まで。MRI検査(5000円未満~7万円)やCT検査(1000円未満~5万円)などもあり、かなり高額のケースも想定できる。治療後に、金額に驚くケースも多いといい、事前に見積書を出す病院もある。飼い主も獣医師も、治療費がどのくらいかかるのかを考えて治療法を選択せざるを得ない。
◇人と同じ 窓口精算できる保険も
飼い主の負担を減らすため、損害保険会社など9社がペット保険を販売。このうち、アニコム損保と、少額短期保険業のアイペット(東京都千代田区)は、動物病院と提携し、人間の健康保険と同じように窓口で精算できる仕組みを取り入れている。飼い主は病院の窓口で「保険証」を見せ、自己負担分の治療費だけを支払う。アニコム損保が約4300病院、アイペットが約2500病院と提携している。アニコム損保はペット保険のシェア6割を獲得してる。
ペット保険の主流は、飼い主がいったん治療費の全額を動物病院に支払った後、保険会社に別途請求する方式で、窓口精算は2社だけという。「保険証」には保険証番号と飼い主の名前などが書かれ、治療のたびに不払いがないか確認する。
保険料は、アニコム損保の場合で月額約2000~7000円。限度額内で治療費の50%を補償する。動物の種類と年齢によって支払額は異なり、人気のトイプードルは1歳なら月額2370円、大型のシベリアンハスキーの10歳は月額6270円といった具合だ。通院補償は1日1万円で年間20日まで。人間の場合と同じで、先天性異常や避妊手術などは対象外になる。
親会社のアニコムホールディングスの江口耕三執行役員は「ぬいぐるみを買うように動物を購入して、『動かなくなった』『熱が出た』といってペットショップに返しに来る客さえいる。保険に加入していれば、動物病院に行くのではないか。ペットショップにとってもリスク軽減になる」と説明する。
理想は「保険証」を持っていれば、全国どこの病院でも病歴が分かり、「保険」に対応した診療が受けられるシステム。しかし、疾病の名称ですら獣医師によって違うという。アニコム損保では、アイペットの保険にも対応し、システムの標準化を模索する。診療報酬明細書(レセプト)と連携し、ネットワーク化できれば、電子カルテのシステムが人間より先に実現できるかもしれない。
◇検診で予防を
医療費を減らすには、予防も重要になる。例えば犬を飼った場合の年間医療費は、東京都の調査(00年)では約5万円、アニコム損保の調査(09年)では約4万円かかる。12年生きるとすると、48万~60万円かかる計算だ。また、フレンチブルドックやパグは皮膚が弱く、アレルギーから耳の病気になりやすいなど、特定の病気にかかりやすい種類もある。
こういった情報を飼い主に提供できれば、予防につながるのではないかとして、アニコム損保では、犬、猫、フェレットなど支払い請求から分かる5種類計150万匹の疾病データを分析中。飼い主に情報提供する準備を進める一方で、日々の健康状態やワクチン接種の記録を書く「母子手帳」も作成し、定期検診を促したいという。江口執行役員は「ペットを飼うのは15年スパンの話になる。人間のがん検診のように、ペットも検診を実施して、予防に対する飼い主の意識を高めたい」と話した。【岡礼子】
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