「後期高齢者医療保険」導入で複雑化した確定申告
3月1日の日曜日は確定申告の最中につき、税務署開庁日であった。納税者の利便性を考慮した行政サービスと思われる。税理士たる私は、この日の記念に、一件の平成20年分所得税確定申告書を提出に出かけた。しかしながら私は、真の行政サービスとは、どこにあるか、国民納税者にとって、何が重要なのか、深く考えさせられたのである。
http://www.news.janjan.jp/living/0903/0903038607/1.php
先日ある関与先からの伝聞で、高校時代の恩師の先生が最近病気で手術したらしいとの事、そこで早速メロンを持って見舞いに出かけた。幸いなことに術後の経過も順調で、元氣に回復されていたので安心した。
その時、所得税確定申告の依頼を受けた、聞けば、今までは自分で書き上げて、近所の市役所の出先機関に提出していたが、今年は「長寿医療保険料」というものが、複雑すぎて、説明書を何度読んでも分かりづらい。記載された保険料のうち、どれが「社会保険料」なのか、もう一度手引きを読みなおし作成するつもりでいたが、君が来てくれたので、すまないがお願いしたい、と仰る。税理士である小職には、いとも簡単な作業である。二つ返事でお受けした。
なるほど、今回の所得税確定申告は、件の悪評高い「後期高齢者医療保険」が導入され「社会保険料」のうちで、どの分が所得控除の対象となるのか、どの分の保険料がダメなのか極めて理解しづらい。75歳以上のお年寄りには、理解しろというのが無理だと思われる。
国税庁のソフトでは長寿医療制度保険と呼んでいるが、市役所からの納付済金額のお知らせの葉書では後期高齢者医療保険料のままである。社会保険庁の公的年金等の源泉徴収票の社会保険料の金額の記載の仕方も、昨年は(介護保険料)と但し書きがあったが、今年の源泉徴収票では、様式が変更され、長寿医療保険料のうち一部が年金支払時に天引きされたため、前述の( )書きは無い。
我が恩師の場合も、これが資料の全部と言って渡してくれた書類を精査してみると、案の定、3月までに支払ったと推測される市役所から届いている筈の「国民健康保険料(税)納付金額のお知らせ葉書が見当たらない。委任状持参し市役所から証明書の交付を受け、これで社会保険料控除金額がやっと確定し、社会保険料控除額が計算できるようになった。
教師であったため年金の支払者が三つ(社会保険庁・公立学校共済組合・私立学校共済事業団)。収入はこれだけ、あとの所得控除は件の社会保険料と控除対象が限定的な地震保険料と配偶者控除だけ。税額を算出してみて、驚いた。労力を掛けた割には、還付金がたったの千円弱。「長寿」者である納税者には、簡易な計算であるべきと痛感した。
わが恩師の名誉のために付言するが、国語の教師であった先生は定年時には我が母校の校長であったし、その後も市の教育長にもなり勲章も恩賜されている立派な教育者であり、今なお矍鑠(かくしゃく)とされている。そんな市井の納税者にとって、今の確定申告を『自書』せよとは酷な制度ではなかろうか。年に一度の計算作業を覚えることは、75歳のお年寄りには無理というものではなかろうか。
ついでにもうひとつ付け加えれば、先生の奥様(半世紀以上前に学生結婚と伺っている)、多少個人情報では問題かもしれないが、書くことをお許し願えれば、年金収入が280,098円、特別徴収された社会保険料は75,160円、それ以外に普通納付の後期高齢者医療保険料が、11,224円、締めて収入に対する医療保険料の割合は何と三割強。この程度の僅かばかりの年金から高額負担の医療保険料を天引きするか。そんな印象を受けるのは私だけであろうか。それに加え今年10月からは住民税も天引きされる。「年金制度」抜本的な改革と簡素で解り易い「税制」を強く要望する次第である。
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