高齢者医療制度に関する検討会が初会合
厚生労働省は9月25日、「高齢者医療制度に関する検討会」の初会合を開いた。検討会の委員は、教育関係者やNPO関係者ら9人で、座長には東洋大の塩川正十郎総長(元衆院議員)が選出された。初会合は、24日の舛添要一厚生労働相の発言を受けて急きょ開かれたもので、舛添厚労相が冒頭あいさつした後、各委員が現行制度への意見を述べた。
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舛添厚労相はあいさつで、「制度の論理がいくら一貫していても、国民に受け入れられないのであれば、政策を変更する必要がある。いい部分は残し、改善すべき点は改善し、制度をさらにいいものに変えていきたい」との方針を示し、各委員に忌憚(きたん)ない意見と活発な議論を求めた。
東大大学院経済学研究科の岩本康志教授は、「政権は代わったが、新しい総理がどこまで改革する気なのか伝わってこない。10年以上かけて議論したのに、なぜこんな批判される制度になってしまったのか反省しなくてはならない」と、制度の抜本的な改革の必要性を訴えた。また、「財源をいかに調達するかが大切だが、現役世代の支援がなければ成り立たない」と述べ、現役世代が納得する制度づくりが重要だとした。
国際医療福祉大大学院の大熊由紀子教授は、「75歳で線引きする理由が全く分からない」としながらも、▽家庭医・総合医について考える機会ができる▽人生の最期をあらためて考える機会ができる▽面倒な保険料の支払いを天引きにできる―などを高齢者医療制度のメリットとして挙げた。また、この制度で保険が個人単位になる以前は、「大企業に勤めている裕福な息子を持つ母親は優遇されるが、一人暮らしの母親は冷遇されていた」ことから不公平感があったが、こうした問題が解消されたとした。今後の課題については、「医療が必要でなく、自宅に戻れるのに、病院で過ごしている高齢者も少なくない。75歳以上の医療費はかさむ一方で、この問題を何とかしなくてはならない」と述べた。
NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」の樋口恵子理事長は、「(後期高齢者の)当事者として、いささか感情的になっている」と前置きした上で、高齢者医療制度を厳しく批判。問題点として、▽75歳での線引き▽保険料の天引き▽説明責任の不履行▽制度そのものの名称▽高齢者の勤労意欲削減▽障害者に対する差別-などを指摘した。
目白大大学院生涯福祉学研究科の宮武剛教授は、現行制度に強く反対した。ただ、▽75歳以上で分けてきちんと財政の分担方法を明確化したこと▽(最期の)看取りまで含めた医療を考えられること▽広域連合単位が運営する道筋を示したこと―などを現行制度のメリットとして挙げた。制度の改革に関しては、「一からつくるのではなく、今ある制度を改造していくのが現実的だ」と強調した。
また、委員からは「介護保険も40歳と65歳で線引きしているのに、なぜ高齢者医療制度だけこんなに批判されるのか考える必要がある」「75歳を65歳まで引き下げたらうまくいくのではないか」「将来的に医療は県単位で運営するのが理想だが、現時点では各広域連合の顔が見えてこない」などの声もあがった。
最後に舛添厚労相は、「政権が代わったが、こういう時期こそ大きな政策転換の議論をすべき。介護保険と医療保険のドッキングも考えなくてはならない」と締めくくった。次回からは、初会合で出た意見をたたき台にして、ディスカッションを重ねていく。
更新:2008/09/25 22:48 キャリアブレイン
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