医学部定員の大幅増を―超党派議連決議
超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」(会長・尾辻秀久参院議員)は6月12日の会合で、来週中にも福田康夫首相や舛添要一厚生労働相に対し、医学部の定員の大幅な増加や、社会保障費の年間2200億円削減方針の見直しによる必要な予算の確保を柱とする議連決議を申し入れることを決めた。議連幹事長の鈴木寛参院議員(民主)は会合終了後のブリーフィングで、2200億円削減方針の見直しについて、「『骨太の方針』がヤマ場を迎える来週が勝負で、首相が優先順位をどこに置くかだ。最後は(関係者による)根回し合戦と、世論の盛り上がりだ」と語った。
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同日の会合で議連が採択した決議案の骨子は、医学部定員の削減に取り組むことを決めた1997年の閣議決定を見直し、医学部定員を大幅に増加させることと、「骨太の方針2006」が打ち出している社会保障費の年間2200億円の削減方針を見直して、必要な医療予算を確保することの2点を中心に据えた。来年度の予算編成をにらみ、骨太の方針がまとまる予定の来週中にも、首相や厚労相など関係方面に申し入れる予定だ。
鈴木議員は「圧縮方針が根強いから厳しいが、超党派のわれわれが声を上げるのが大事。(骨太の方針は)閣議決定だから、最終的には首相の判断。福田首相に対してどういう勢力がどれだけ大きな声を上げるかだ。(削減方針の見直しは)小泉純一郎元首相や経済財政諮問会議の否定になるため、首相として重い判断だ。最後は根回しと世論になる。国民世論がどこまで医療費を増やそうと言うか、医療現場の状況が国会に届くかということだ」と、世論の高まりの重要性を強調した。
鈴木議員は、10日の同会議で首相が2200億円圧縮を堅持するとの姿勢を示したことについて、「議連の各党のメンバーは反発している」と述べた。また、2200億円の数字の根拠について、「医療費自然増の1.6兆円のうち公費負担は1.1兆円。それを5で割って2200億円になったが、実は自然減で9000億や7000億と(いう試算があり)、当初より下がっている。だから当初決めた2200億円だけが残るというのはおかしいし、そもそも削り過ぎ」と疑問を呈した。
■医学部定員毎年400人増、10年後は1万2千人に
医学部の定員増については、毎年400人ずつ増やし、現在の8000人を10年後に1万2000にまで増やす。患者需要がピークを迎える2030年以降は、その後の患者需要の減少に合わせて現状程度にまで戻すとした。
定員増の数字は、現在の医師の労働時間から算出した。現在の勤務医の週平均労働が70.6時間(厚労省調べ)として正規分布で見れば、全体の7-8割が、過労死の危険ラインとされる週80時間労働を続けていることになる。これを、欧米並みの週40時間労働に抑えるには、医学部の定員を増やし、中核病院のコメディカルを現在の48万人から10年後には96万人に倍増させる。加えて、地域住民がいわゆる「コンビニ受診」を控えるなどの地域の支え合いが必要とした。
同議連は国会終了後も活動を継続する。今後は産科の医療崩壊や、社会保険庁の廃止に伴う社会保険病院などの年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)への移管の問題などに取り組む予定だ。
<鈴木議員のブリーフィングメモ>
■2200億円、前年度の踏襲だけは避けたい
「2200億円(の抑制)を消せなくても、前年度のラインを踏襲するということは避けねばならない。一挙に解決しなくても、最悪を脱して、来年度予算につながっていけば。ポイントは▽骨太の方針にどう書かれるか▽概算要求でどういう数字になるか▽本予算でどうなるか―の3つ。概算要求と本予算編成の間に総選挙があれば、骨太の方針はなくなる。自民党や公明党の有力者も骨太の方針には反対と言っているので、民主党が選挙で負けたとしても、両党が医療をマニフェストに盛り込めば、骨太の方針が弾力化される方向になる。
今後は世論の高まりと医療現場の状況が国会に届くかということ。(2200億円抑制という)規定ラインが決まっているの(を変えるの)は大変」
■財源問題「今年はガソリン税2兆5千億円がある」
「今年は楽。ガソリン税の暫定税率分を一般財源化するから、2兆5千億円が一般財源になる。『財源がないからできない』というのが去年までのセリフだったが、今年は2兆5千億円の財源があるから、医療や国立病院交付金などに入れるかという話ができる。そこは首相の優先順位次第だ。(しかし)また道路族が巻き返すだろう。最後は(関係者への)根回しで、世論合戦だ。国民世論がどこまで医療費を増やそうと言うかだ。増税論議は今は不要で、消費税か医療費かという選択をまだ迫る必要はない。2兆5千億円の使い道が、道路か医療かということ。国民世論が巻き上がればよい。2兆5千億円のうち、自民党は道路費確保費用に8割必要と言うので、5千億円が余る。だから現実的にやろうと思えばやれる。道路財源があるから安倍晋三前首相の時より楽。これがなければ深刻。倒閣運動しかない」
■ライバルは教育だが、医師数増の財源に
「ライバルは教育(分野)。衆院文部科学委員会が(教育投資額を)対GDP 比5%(現在は3.5%)確保するという決議をしている。その裏には、民主党が、対GDP比を明記した「教育振興基本計画」を作るという「学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案(学校教育環境整備法案)」を出したことがある。同計画に対GDP比を盛り込むか否かで財務省と文科省がもめている。文科省の後ろには衆院の決議、民主党の「学校教育環境整備法案」の提出があり、文科省と民主党のタッグだ。そこに自民党と公明党の文教族が乗ってきているという話。教育費が増えれば、医学部定員増はそこで見るから、総体として医療と教育の両方が必要。
また、後期高齢者医療制度について、与党プロジェクトチームによる負担軽減策の所要財源330億円もどこかでのみ込まなければいけない。福田首相がどこまで道路族に吐き出させるかだ。古賀誠衆院議員と首相の綱引きでは。政府はそれが嫌で、古賀議員からは取れないから消費税増税気運を盛り上げたいということだろう」
更新:2008/06/12 21:47 キャリアブレイン
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