ミャンマー:サイクロン被災者への緊急援助
5月2日から3日にかけて大型サイクロン「ナギルス」がミャンマー南部を直撃し、ミャンマー当局の発表によると13万4000人を超える人々が死亡もしくは行方不明となっている。国境なき医師団(MSF)は、サイクロン発生直後から被災者への救援物資の配布など緊急援助活動を開始した。被災後3週間が経過した時点で、MSFは首都ヤンゴンとその周辺地域および、被害が最も深刻なイラワディ・デルタ地域の複数の地点において、食糧や医療・救援物資の配布、診療、水・衛生の整備などを実施している。さらに、援助が届いていない地域の人々を救うべく、調査活動も継続している。
http://www.asahi.com/international/shien/TKY200806030153.html
(C)MSF
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Robert Genest/MSF
(C)Eyal Warshawski
(C)Claude Mahoudeau/MSF
(1)サイクロンの最も深刻な被害を受けたイラワディ・デルタ地域のボガレイ。被害状況の調査を実施したMSFのチームは、この地域の80%から95%の家屋が崩壊した状況を目の当たりにした。家を失った人々は、学校や僧院などの公共施設に身を寄せており、家を新たに作るために竹を集めている。自宅に留まっている人の中には、遺体の浮かぶ水につかったままの家で、浸水していない部分で生活せざるを得ない人も多い。
(2)ミャンマーの人々の中には、サイクロン発生前からもともと弱い立場に置かれていた人たちがいる。ミャンマーのラカイン州に住むロヒンギャ族の人々は、政府から市民として認められておらず、経済的に厳しい状況に置かれ、さらに嫌がらせや暴力などの迫害を受けている。さらに、サイクロン被災地はエイズやマラリア、デング熱などの感染症が蔓延している地域でもある。この状況下をサイクロンが襲い、多くの人々が家や家族をなくし食糧や生活手段を全て失った。
(3)MSFはサイクロン発生後、直ちに被災者への緊急援助活動を開始した。5月22日までの時点で、医療・衛生関連物資や栄養治療食を含む合計190トンの救援物資を被災地へ輸送した。また、被災者への診療も開始し、サイクロンによる負傷者や下痢・呼吸器感染症の患者など1日平均500件の診療を行っている。さらに、冠水しているためにアクセスが困難な地域にはボートを使って移動し、援助から取り残された被災者に医療を提供している。
(4)食糧やテントなどの援助物資の配布にくわえて、このような災害時に最も重要な援助の1つは、飲料水・生活用水の衛生整備である。避難場所に身を寄せている人々は超過密状態で暮らしており、このような環境下で安全な飲み水やトイレが設備されなければ、下痢やコレラなどの感染症が急激に拡大する恐れがある。清潔な飲み水が入手できなければ、人間は3日以上生き延びることは困難であり、また排泄物が給水源に混入すると、病気が急激に蔓延する恐れがある。このため、水・衛生の専門家を迅速に現地へ派遣し、水や衛生環境の設備を整備することが極めて重要である。
(5)しかし被災後数週間のあいだ、緊急援助の専門スタッフを現地に派遣し、必要な援助を提供することには大きな制限があった。MSFのオペレーション・ディレクター、ブルーノ・ジョッカムは語る。「数万人のサイクロン被災者が援助を緊急に必要としている中、ミャンマー政府は外国人の援助従事者が被災地に入ることを制限しています。たとえば、水・衛生の専門家は被災地に向かう移動許可が下りず、非常に需要の高い衛生関連の活動が実施できません。このような大規模な災害において、危機対応経験のある技術スタッフの存在が欠かせないのです。」MSFはミャンマー政府に対し、救援活動の迅速な拡大と外国人援助従事者の被災地での活動を認めることを求めている。
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