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小児科を守れ:/中 行政だけに頼らない 立ち上がった、おかあさんたち

「コンビニ受診」。昨年4月20日のおかあさんたちの座談会で、杉浦保子さん(29)=兵庫県丹波市=はこんな耳慣れない言葉も聞いた。平日に近くの診療所に行けば済む症状なのに、「便利だから」とコンビニに行くような感覚で休日・夜間の救急医療を利用することだ。特に小児科で多く、医師が疲れ果て、医療崩壊の一因となっている。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080601ddm013100018000c.html

 「私たちには何ができるだろう」。座談会で結成が決まった「県立柏原(かいばら)病院の小児科を守る会」はまず、署名活動に取り組んだ。県に「医師の派遣」を求めるものだが、同時に「私たちもコンビニ受診を控えます」との言葉を加えた。

 ■考えた末の「SOS」

 07年5月末で退職すると公言した小児科医、和久祥三(わくしょうぞう)医師(41)は「守る会」の活動を知り、もう少し柏原病院で踏ん張ることにした。和久医師は地元出身。「辞める」と公言したのは「古里の医療が壊れていくのは忍びない」と考えた末の「SOS」だったのだ。

 和久医師が着任したのは、04年3月。当時は3人態勢だった。一般外来、救急、入院患者への対応と多忙を極め、超過勤務は月100時間を超えた。

 学会で窮状を訴えたり、県知事に「このままでは現場はもたない」とメールを送った。だが、支援はないまま06年3月には1人減員に。周辺の病院も小児科医の減少が止まらず、1人当たりの負担は増える一方だった。一時は「心が折れてしまったような状態になった」。

 ■甘さ思い知った

 「守る会」の署名活動が広がると、参加希望者も現れた。7人だったメンバーは、20~30代の母親15人ほどに増えた。署名は、2カ月足らずで5万5000人分に。兵庫県庁に電話し「知事さんに思いを伝えたい」と訴えた。

 担当者と何度もやりとりし、07年6月14日、健康局長らと面談ができた。だが、県幹部は「努力しているが、困っているのは丹波だけではない」と繰り返した。しかも、一般外来が中止されていることなど現場の実情もよく知らなかった。署名を持って行きさえすれば何とかなる、と考えた甘さを思い知った。

 翌月、「お疲れさま」のランチ会に集まったメンバーは口々に言った。「行政に頼るだけでなく、自分たちでやろう」

 ■厚労相からのメール

 次にメンバーが考えたのが、「今いるお医者さんに感謝の気持ちを伝えよう。『ありがとう』と言おう」ということだった。病院の草刈りに参加したり、医師に年賀状を出したりした。

 柏原病院の小児科の横には患者の子どもや親が感謝の言葉をつづった「ありがとうカード」も掲示されている。07年8月に「守る会」が始めた。「そりゃ、うれしいですよ」。一時は退職を口にしていた和久医師が顔をほころばせる。

 活動はネットを通じて全国の医療関係者にも知られるようになった。守る会が今年1月、ホームページを開設した直後、自宅を会の「事務局」としている岩崎文香さん(34)は目を疑った。舛添要一厚生労働相からメールが届いていた。「これこそが地域医療の崩壊を食い止める住民からの大きな運動だと尊敬申し上げます」と書かれていた。=次回は8日。おかあさんたちの活動が実を結びます。

毎日新聞 2008年6月1日 東京朝刊

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