高齢者医療 新制度の見直しを急ぐべきだ
民主党など野党四党は、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の廃止法案を参院に提出した。
新医療制度はお年寄りを七十五歳という年齢で区切り、十分な医療を受けなくさせる「うば捨て山」という批判も根強い。
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200805265387.html
確かに、これまで保険料を免除されていた人から徴収したり、保険料を年金から天引きするなど高齢者の気持ちを逆なでする点が多い。
「新制度では保険料が安くなる傾向」との説明に反し、自治体の軽減措置がなくなり低所得者の保険料が大幅アップした事例もあるという。このままでいいわけはない。
法案は来年三月末に制度を廃止し、四月から元の老人保健制度に戻すのが柱だ。年金からの天引きは十月までに停止▽低所得者を中心に保険料負担の軽減を図る―などの経過措置も盛り込んだ。
経過措置は是認できても、元の老健制度に戻すのはどうか。そもそも高齢者の医療費を誰が負担しているのか見えにくいという点から議論が始まり、野党も旧制度の改革に賛成した事情がある。
実際、民主党の直嶋正行政調会長は「老健制度も完全ではない」と認める。同党は四党の政策責任者会合で「廃止だけでは無責任」とし、制度を最低二年間存続させて、その間に新制度を考えるとの試案を示したという。
結局、民主党は野党の結束を優先して法案を提出した。しかし、経緯を考えると、福田内閣を追い詰めるという政局的な思惑が先行しているようにも感じられる。
元に戻すだけでは説得力は乏しく、さらなる混乱も招きかねない。いま急ぐべきは、むしろ制度の欠陥を改めることだろう。
福田康夫首相は六月中旬までに運用改善策を打ち出す方針だ。保険料負担の軽減拡充策では、与党は国民年金しか収入がない低所得層らを対象に、保険料の「均等割」部分の減額割合を「最大七割」から「最大九割」に改める方向で調整している。
天引きの対象外とする低所得層も拡大する方針だ。さらに舛添要一厚生労働相は、延命措置の中止を強制されかねないと批判が強い終末期相談支援料について、一時凍結も考えるとしている。
これらの改善は早急に実現すべきだが、小手先の改善で終わっては困る。高齢者が十分な医療が受けられるのか、という根本的な批判や疑問に正面から向き合い、抜本的な見直しも検討すべきだ。
首相や与党側にも、高齢者層の支持離れを食い止めたいという思惑が透けて見える。国民の命を守る制度を政争の具にしてはならない。より良い高齢者医療制度に向けて、真しん摯しな議論が求められる。
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