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高齢医療が政争の具に 野党4党が廃止法案提出

野党の後期高齢者医療制度の廃止法案の骨子

 ▽2009年4月1日で後期高齢者医療制度を廃止し、同日から従来の老人保健制度に戻す

 ▽遅くとも08年10月までに、後期高齢者医療制度の保険料の年金天引きを停止する

 ▽老人保健制度で保険料負担がなかった被扶養者の保険料徴収の凍結を10月以降も継続する

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20080524-OYT8T00272.htm

対案示さず「無責任」批判

 野党4党が23日、参院に提出した後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の廃止法案は、少子高齢化が進む中で、様々な問題があるとして廃止された従来の老人保健制度に戻す内容だ。急速に進む老人医療費の増加にどう対応するのかという処方せんを示していない。一方、与党は制度の骨格を変えず、保険料軽減など運用改善で国民の批判をかわそうとしているが、財源問題が明確ではない。一時しのぎではない責任ある対応が政治に求められている。(政治部 湯本浩司、大田健吾)


 「一番大事なのは野党4党でまとまったことだ。国民の福田内閣に対する不信感は高まっている。(福田)首相問責(決議案提出)も視野に入れていきたい」

 民主党の鳩山幹事長は23日の記者会見で、廃止法案を武器に、政府・与党への攻勢を強める考えを示した。廃止法案の参院通過を想定している6月4日には、東京・巣鴨の地蔵通り商店街で、4党党首による街頭演説を行い、世論に訴えることも予定している。

 野党の政策責任者会議では当初、廃止法案の提出は時間がかかると見られていた。後期高齢者医療制度の代替制度を盛り込むことも検討していたからだ。

 だが、「とにかく早く参院に提出して可決し、衆院に送付するのが最優先だ」(民主党国対幹部)として、従来の老人保健(老健)制度に戻す内容とするにとどめた。

 ただ、民主党自身が2000年11月の参院国民福祉委員会で、老健制度には問題があるとして「新しい高齢者医療制度を作るべきだ」とする付帯決議を提案、可決しており、「老健制度にただ戻すだけというのは極めて無責任」(公明党・太田代表)との批判が与党からあがっている。

 厚労省の推計(06年)では、06年に10・8兆円だった老人医療費は、後期高齢者医療制度の導入などで25年に約25兆円に抑制できるが、老健制度を存続させた場合は約30兆円にふくらむとしている。

 老健制度に戻した場合、「将来は現役世代の保険料の5割以上が高齢者に充てられる恐れがあり、現役世代の理解が得られない」との指摘もある。また、75歳以上の高齢者の多くは市町村が運営する国民健康保険に再加入することになるが、高齢者の多い自治体は、保険料が大幅に引き上げられたり、財政運営が行き詰まったりする恐れもある。

 ただ、無責任なのは野党側だけではない。

 自民党の堀内光雄・元総務会長は後期高齢者医療制度を「うば捨て山」と指摘し、制度凍結を求めている。堀内氏は03年に制度の基本方針を閣議決定した当時の総務会長だが、「最近まで内容をよく知らなかった」と話している。同じく当時、財務相だった塩川正十郎氏も制度を批判していることなどに対し、「制度を作った政府・与党の責任者が今ごろになって無責任な発言をするのはいかがなものか」との指摘もある。

 与党は後期高齢者医療制度の骨格は変えず、低所得者の保険料負担の軽減策などで対応する方針だ。すでに制度が始まっていることから、抜本的に見直すと、大きな混乱を招きかねない事情もある。自民党内では、次期衆院選に向けて、「医療制度への不満を背景に、高齢層の自民党離れが進むと、影響は深刻だ」との懸念が強い。自民党は与謝野馨・前官房長官を中心に、総合的な高齢者対策の取りまとめに乗り出すなど、対応に躍起となっている。

与党、負担軽減で巻き返し 財源は不明確

 与党が検討している後期高齢者医療制度の主な見直し項目が23日、ほぼ出そろった。〈1〉予算措置が必要な加入者の負担軽減〈2〉保険料の年金天引きに選択制導入〈3〉制度導入に伴う診療報酬「終末期相談支援料」のあり方――の3分野に分けられる。

 負担軽減策は、低所得者を対象に保険料の「均等割」部分の減額割合を現在の「最大7割」から「最大9割」に拡充したり、制度導入で保険料負担が増えた人には申請に基づき増額分を還付したりする方針が固まった。いずれも、年間収入が国民年金でモデル額(約80万円)以下を対象とする方向だ。また、9月まで保険料の徴収を凍結し、10月から来年3月までは9割減額としている会社員の被扶養者約200万人に関しては、10月以降も凍結を続けるか、4月以降の9割減額継続かのどちらかの案を検討している。

 財源について、与党内では「今出ている案を全部やっても2000億円程度。別枠にすべきだ」(自民党幹部)として、08年度補正予算での対応や特例扱いを求める声が圧倒的だ。

 終末期相談支援料は、舛添厚生労働相が一時凍結の意向を表明したが、「患者が望む延命治療の打ち切りにつながる」との批判も多く、廃止を求める声がくすぶっている。

 一方、年金からの天引きの問題は議論が分かれている。

 年金から2か月おきに保険料が天引きされる人は約1100万人。与党は、まず、現在天引き対象となっている年金収入の基準を、「年18万円以上」から「年約80万円以上」に引き上げて対象者を減らす方針だ。

 市町村が天引きか窓口払いかを選べる制度を設ける案も検討しているが、選択制には法改正が必要との指摘がある。創設しても市町村ごとに対応がばらつけば、逆に混乱や不安をあおりかねないとの声も根強い。

 与党は月内にも、厚生労働関係議員の作業チームで見直し案をまとめるが、実施には市町村のシステム改修が必要で時間がかかる項目も多い。(古川肇)

(2008年5月24日 読売新聞)

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