診療報酬不正数億円か 静和病院捜索
架空職員など申告
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20080423-OYT8T00769.htm
押収物の入った段ボール箱を運び出す捜査員ら(23日午後6時半ごろ、静和病院で)=鈴木毅彦撮影 温暖な気候と自然の中で最高の療養環境をうたい、地区最大規模の療養病床を持つ東伊豆町奈良本の「静和病院」(307床、吉田晃院長)に23日、県警の捜査のメスが入った。診療報酬を不正請求したなどの健康保険法違反と詐欺の疑い。診療中の病院に100人以上の捜査員が一斉に捜索に入るという異例の事態に、患者や町民には困惑や、今後の診療態勢への不安が広がった。
捜査関係者によると、同病院は正規雇用者としての実体がないにもかかわらず、非常勤職員を正規の看護職員として届け出ていたほか、実在しない職員や退職者の名前を使うなどして看護職員の数を水増しし、実際よりも多い診療報酬を受け取っていた疑いが持たれている。
病院に支払われる診療報酬のうち入院基本料は、入院患者数に対する看護職員数などで決まる仕組みとなっており、水増しによる不正受給額は、過去3年間で数億円に上る可能性もあるとみられている。
こうした実態について、同病院の男性看護師は「看護師数を多く見せるため、看護カルテに退職した看護師の名前を書くよう指示されていた」と証言。
県などによる監査は事前に通告があるため、「退職者を実際に病院に呼ぶなどし、体裁を整えることが可能だった」と明かした。
同病院の職員らは「とにかく看護師が足りない。いつかこうなると思っていた」と語る。
女性事務職員は、空き時間があると看護助手として働かされたと言い、「病院のやり方はずさんすぎる」と涙ながらに話していた。
【入院どうなる】
同病院には午前8時半ごろ、県警の捜査員など約100人が捜索に入り、捜索は夜まで続いた。
太田長八・東伊豆町長は「全く思いもよらないこと」と驚いた様子。首都圏からの入院患者が多いというが、「地域の大切な医療機関であり、今後の診療に大きな影響が出ないよう祈っている」と話した。
同病院近くの男性(63)は「救急でも診てくれるので、病院がなくなってしまうと、もしもの時が不安だ」と話した。また、親族を入院させるため、付き添いで来たという横浜市の男性(66)も「このまま入院し続けられるのか……」と戸惑いを隠せない様子だった
【看護婦引き抜き依頼 佐賀の2病院に】
県などによると、同病院には一般55、療養252の病床があり、捜索時はほぼ定員に近い入院患者がいたという。昨年4月現在、内科、小児科、婦人科など10診療科。患者搬送用のヘリコプターも持っていた。
賀茂医師会によると、静和病院は以前、一方的に医師会を退会したという。
事務局の男性職員は「地域医療が混乱する可能性もあるので、県から協力要請があれば、患者の受け入れも含めて検討することになると思う」と語った。
同病院は、医師、看護師確保に苦慮していたとみられる。昨年には佐賀県の2病院に対し、看護師引き抜きの仲介を依頼する文書を送り、同県医師会から今年1月、「倫理にもとる行為で、地域医療の崩壊につながる」と、抗議の申し入れを受けていた。
静和病院から昨年10、12月の2度、吉田院長名で各病院の看護主任あてに、「報酬は(年)380万~700万円」「(紹介者には)応分の紹介料を用意する」との文書が届いた。各病院と静和病院のつながりは全くなかったという。
(2008年4月24日 読売新聞)
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