医療事故、立ち入り権限「調査委」案 届け出対象は限定
医療事故死の原因究明と再発防止にあたる新たな調査機関として、厚生労働省が検討してきた「医療安全調査委員会(仮称)」設置案の全容が明らかになった。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080402-OYT8T00430.htm
医療機関への立ち入りやカルテ提出を命令する権限を持つ。現在は、異状死があれば医療機関は警察に届け出るが、医師法を改正し、医療機関からの届け出は委員会へと一本化。悪質なケースに限り委員会から警察に通報する。遺族からの届け出も委員会が受け付ける。同省は近く案を公表、関連法案の今国会提出を目指す。
国の機関となる委員会は、病理医、法医、臨床医、看護師など医師以外の医療関係者、法律家、患者の立場を代表する識者らで構成。
現在、診療中の予期せぬ死亡は医師法21条に基づき異状死として警察に届けることが多いが、同法を改正し、医療機関が委員会へ届け出るよう義務化する。
しかし、届け出の対象については当初、予期せぬ死亡すべてとすることを検討していたが、明らかな医療ミスでの死亡や、ミスの有無は不明でも死因について合理的説明がつかない場合などに限定。医療機関がこれらに該当しないと判断すれば届け出る義務はない。ただ、委員会は遺族の届け出によって調査を始めることもできる。
委員会は、カルテ改ざん、医療事故の繰り返し、故意や標準的な医療行為から著しく逸脱した重大な過失など、悪質なケースに限り警察に通報する。
[解説]「現場委縮」批判に配慮
医療版事故調査委員会とも言える「医療安全調査委員会」の厚労省案は、委員会の調査が刑事手続きにつながることに対し、医療界の一部から「現場が委縮し、リスクの高い診療科離れが進んで医療崩壊を招く」などと反発の声が出たことに配慮した内容になった。
例えば、医療事故死すべての届け出を義務化する当初方針を変更して委員会への届け出範囲を限定し、判断も医療機関にゆだねた。遺族が警察に持ち込んだ場合も、警察は委員会での調査を勧めるという。
しかし、カルテ改ざんや隠ぺいなどが繰り返された医療界への不信は根強い。新たな仕組みが幅広い支持を得るには、委員会が、患者、医療従事者双方にとって信頼できる公正中立な機関となることが大前提だ。(社会部 高梨ゆき子)
(2008年4月2日 読売新聞)
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