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患者参加型医療の実現をめざして 第6回日本予防医学リスクマネージメント学会開催

第6回日本予防医学リスクマネージメント学会が3月18-19日の両日,山口建会長(静岡県立静岡がんセンター)のもと,静岡県三島市の東レ総合研修センターにて開催された。「患者参加型医療の推進に向けて」をメインテーマとした今回は,時に対立的構図が強調されがちな患者と医療者の関係をもう一度見直し,患者とともによりよい医療をめざすための示唆に富んだ内容となった。

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02779_03

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“寄り添う医療”の実現をめざす
 会長講演「がん医療の現場でQuality Improvementを考える――患者参加型医療への対応」で山口氏は,“医療崩壊”と言われる現在,リスクマネージメントが重要な役割を果たしていると述べた。そして,最善の医療とは「病気の克服,症状の緩和」「心のケア」「自分(患者)の暮らしを尊重する」ことであり,医療者と患者・家族の協働作業であるとした。

 また,インフォームド・コンセントやセカンドオピニオンなどは,慢性疾患としてのがんを中心に進められてきたが,こういった“患者参加”というリソースを医療に取り入れることで,リスクマネージメントがより進むという手応えを示した。そのうえで,静岡がんセンターの「Quality Improvement」の考え方と,患者・家族と協働するために構築した体制を紹介。患者の苦情クレームや相談を受け,問題を整理して専門職に情報提供する“がんよろず相談所”,医療安全にかかわる情報収集や対応にあたる“Risk Management・Quality Control室”,患者用図書館など,各部門の連携や,患者参加を実現するためのさまざまな仕掛けが医療の充実に貢献していると述べた。

 さらに,こういった病院の仕組みやその改善にまで“患者参加”を実現させるためには,施設管理者の理解を得ることが重要課題であると強調。これからは患者を中心とした,多職種チーム医療,ひいては“寄り添う医療”の実現が不可欠であると締めくくった。

緊急対応システムの整備が急務
 パネルディスカッション「日本における緊急時対応システム(RRT:Rapid Response Teams)の検討」(座長=国立保健医療科学院・種田憲一郎氏)では,4人の演者が各々の取り組みを語った。最初に座長の種田氏が,医療安全の取り組みの1つとして,RRT(註)が注目を集めていることを紹介。日本における緊急対応システムの整備は不十分であり,患者家族への対応など総合的な緊急対応システムのあり方を検討すべきとの見解を述べた。

 続いて,高橋英夫氏(名大)が,2003年に臨床研修指定病院を対象に実施したアンケート調査から,日本における院内救急体制の実態を紹介。「コード・ブルー」のような緊急招集体制の整備は多くの病院で行われているものの,緊急対応チームとその通報体制が特別に定められている病院や,インシデント・アクシデントなどの個別性を考慮に入れてシステムを構築している病院は少ないと指摘した。名大病院では,手術中に発生した大量出血事故を契機に,専門診療科から構成されるレスキューチームと,PHSを用いた院内連絡体制を構築し,24時間365日対応可能となっているという。

 医療安全管理者の立場からは,金子恵美子氏(東女医大病院)が,自院で起きた事例を紹介。初期対応の重要性とともに,迅速かつ的確に対応するためには訓練されたチームとリーダーの存在が重要であると述べた。また,患者,患者家族,事故を起こした当事者,現場を適切に支援するために,医療安全管理者は情報を聞きわけ,重要度を冷静に見きわめなければならないとした。

 患者家族の立場からは,豊田郁子氏(新葛飾病院)が,医療事故による家族の死を「コミュニケーション不足が招いた死だった」とし,根本原因の究明と,医療事故後に病院が患者家族にきちんと向き合い,対応することの重要性を述べた。豊田氏は自らの経験を医療に生かしたいと,現在医療安全対策室でセーフティーマネジャーとして勤務している。

 Joshua Jacobs氏(ハワイ大)は,患者の容態の異常な変化などの見過ごしによる死亡や,不適切な対処による死亡である「救命の失敗」は,避けられるはずの死の最も一般的な原因であると述べた。そしてこの回避のために,危険性のある患者の特定と適切な介入を目的とした緊急対応システム(Rapid Response System)を導入したアメリカの現状を紹介。その有効性については,今後の研究課題とした。

註:患者が心肺停止またはそれに近い状況で発見される前に,そのような状況の“兆し”があった時点で緊急対応を行うことができる医療チーム。

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