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阪南市の医療崩壊進行、大阪の「南北格差」も背景に

 大阪府最南端の中核病院、阪南市立病院(185床)が存続の危機に陥っている。医師の流出が止まらず、一時は入院診療の全面休止を決めるまで追い込まれた。その後、医師数人が補充でき、細々と入院を継続することになったが、収支悪化は避けられず、市が財政再生団体に転落する恐れさえある。人口6万人弱のベッドタウンで、医療崩壊が進んだのはなぜか。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200803170121.html

大阪府阪南市が入院の継続を決めた市立病院=同市下出で
 ●瀬戸際

 「4月1日以降も入院を継続する」。10日の阪南市議会特別委員会で、岩室敏和市長(60)はこう宣言した。

 同病院の常勤医師11人のうち、少なくとも6人は3月末で退職する。24時間の患者対応が困難になるとして、市は1月末に4月以降の入院全面休止を決定。だが、2月中旬、自ら志願した男性脳神経外科医(39)を採用したのを機に、内科医数人を補充できるめどが立ったため、胃腸科・外科と総合診療科(4月に正式開設)だけ入院診療を続ける方針に転じた。

 入院患者は現在、1日10人程度まで落ち込んでおり、市側は「いったん離れた患者を呼び戻さなければ」。ただ、稼ぎ頭だった小児科は、1人だけになる常勤医が「十分な態勢を取れるか見極めたい」としており、入院を当面休止するという。

 ●悪循環

 同病院の窮状は、昨春から深刻化した。

 和歌山県立医科大出身の常勤内科医師2人が個人的事情で退職を希望。同県内の医師不足を理由に他大学からの補充を求めた県立医科大側との交渉が行き詰まるうち、残る3人と近畿大出身の非常勤医4人も過重労働への懸念から退職してしまい、昨年7月には内科閉鎖に追い込まれた。

 さらに、術後管理に不可欠な内科医の不在で、整形外科なども手術が激減。常勤医6人が次々と退職の意向を示す悪循環を招いた。

 大阪市内へ電車で約40分という都市近郊の総合病院が、なぜ医師確保に苦しむのか。医療関係者は大阪特有の「南北格差」を要因にあげる。「堺市以南はへき地」と言い切る大阪大医学部の教授は「府内の医科系大学の大半は大阪市以北にある。魅力がある病院でない限り、南部に行きたがる卒業生はいない」。

 医師が見つからぬ焦りは、市幹部の確執を招いた。岩室市長は2月6日、医師探しの実務責任者だった福山敏博副市長(57)を突如解職した。市長は理由について多くを語らないが、市幹部は「病院の今後のあり方をめぐって、2人が対立していたことは公然の秘密だった」と明かす。

 ●不安

 入院診療の一部継続方針で、病院の危機はひとまず峠を越えたように思える。ただ、財政面の危機はこれからだ。

 病院収入の6割強は入院収益が占める。市は外来診療だけの状態が1年間続けば、累積赤字が市税収入の5割に相当する約31億円に膨らむ、と試算していた。現在74人いる医師以外の常勤職員を19人まで減らすことを前提とした数字だった。

 入院継続を受け、市は原則として現在の職員数を維持する方針を決めた。ただ、診療態勢の縮小で収入減は避けられず、人件費を抑えなければ、試算以上に収支が悪化する恐れがある。

 同病院の不良債務は07年度末で10億円近い。市は08年度一般会計から約11億円を繰り入れる予算を組んだが、財源のあてはない。同年度から自治体が連結赤字で財務評価されると、国の監督下に入る財政再生団体への転落も現実味を帯びる。

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