メドベージェフ・プーチンのロシア:番外編・識者に聞く/3
◇90年代の改革成果、無駄に--イリーナ・ヤーシナ氏(経済アナリスト)
http://mainichi.jp/select/world/news/20080306ddm007030132000c.html
プーチン時代の8年間で国内経済は高成長を遂げたが、これは政治の成果ではない。原油価格の高騰で、石油・天然ガス輸出が好調だったためだ。また90年代の血のにじむような改革によって好条件が準備されていた。
このかつてない好機をプーチン大統領は無駄にしてしまった。軍や教育、医療、年金の改革は手付かずだ。今のままでは年金制度は20年後に崩壊する。
メドベージェフ次期大統領は、第1副首相として教育・医療改革など国家プロジェクトを担当してきたが、一般国民が受けられる医療サービスの質は以前より悪化した。同氏が会長を兼務する政府系天然ガス独占企業ガスプロムも、新規ガス田開発を怠ってきた。
もし石油価格が下がれば、ロシア経済は崩壊する。国家の収入の8割を石油・ガスの輸出に頼っているからだ。我々は高収入と高支出の予算に慣れてしまっており、今さら緊縮財政などできない。
それでも政府に対する国民の不満の声は表に出ない。政権による強権的なメディア統制と、人々の平均月収が上昇(00年の80ドルから現在は540ドル)したのが背景にある。
メドベージェフ氏は官僚の腐敗一掃や社会改革を公約に掲げた。同氏を「リベラル派」と見て変化を期待する声もあるが、私は懐疑的だ。プーチン氏の側近として政権中枢にいながら、何もしなかった人物だ。「ルーブルを国際基軸通貨に」とも主張するが、空想にすぎない。【モスクワ杉尾直哉】=つづく
毎日新聞 2008年3月6日 東京朝刊
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