患者は“神様”? 悲鳴を上げる勤務医
『医者のしごと』の著者 福井次矢聖路加国際病院院長に聞く
2008年2月4日 8時57分
http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz08q1/560066/
医者に無理難題を押しつける身勝手な患者の増加、病院での過酷な労働に耐え切れず、次々と病院を去る働き盛りの医者たち――。医療は今、数多くの問題を抱え、患者が十分な医療を受けられないほど危機的な状況に陥っている。著者の福井次矢院長は、問題の背景には、医者の仕事に対する理解不足があると指摘。子供の頃からの健康教育の必要性や、「総合医」の認定が問題解決への道と話す。福井院長に、医療崩壊の現状と今後の課題について聞いた。(聞き手は日経ビジネス オンライン 飯村かおり)
―― この本は医者を志す若い人に向けてお書きになった本ですが、お書きになろうと思ったのはなぜですか。
福井 医者になりたいという思いを少しでも持っている十代の若者に、医者の仕事を知ってもらいたいと思って書きました。
私たち医者の仕事については、それぞれの専門分野からの情報提供はあっても、医者の仕事の全体像については意外と情報提供がなされていないと感じていました。実際、医者は、自分たちの仕事をアピールするのが下手で、団結心もないと言われることが多かった。その意味では、本のタイトルにある15歳の人たちよりもずっと上の世代の人にも読んでもらえるとありがたいです。
―― 最近、「モンスターペイシェンツ」と言われるように、身勝手な患者が増えています。この問題の根底にも、医者の仕事に対する情報不足があるのでしょうか。
福井 医者の仕事に対する理解不足が背景にあると思います。医療は無尽蔵に提供できるものではないということを、多くの人に認識してほしいのです。
風邪を引いた時に、昼間病院に行くと待たされるから、夜、救急に行ってすぐ診てもらおうなどとはとんでもない話です。重症な患者を診る時間を奪っているという意味で、医療という社会資源をムダに使っている。
日本では医者に応召義務がありますから、診察を要求する患者には医者は応えなければいけない。例えば救急外来に来る必要のない人がどんどん来る。それでもそういう人を断ったら大騒ぎになるし、反対にそれぞれに対応していたら本当に救急医療の必要な人を診られない。どちらにもいい顔をするのは現実には無理なんです。
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