県の予算案 7年連続減
総額5672億円 前年度比2・1%減
県は15日、2008年度当初予算案を発表した。一般会計の総額は5672億1100万円で、07年度当初より121億9800万円、2・1%減少した。前年度当初比では7年連続の減額となり、1991年度当初を下回る規模となった。県債発行残高は3年連続で減少する見通しだが、08年度末現在でなお1兆999億円に上る見通し。引き続き財政健全化は待ったなしの課題となる。予算案は22日に開会する県議会2月定例会に提案される。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20080215-OYT8T00730.htm
【歳入】
県税収入は、07年度当初比で2・3%減の1170億円を見込み、5年ぶりの減少となった。県財政課は「県内の景気は思わしくなく、現段階ではこれ以上の県税収入は期待できない」と厳しい見通しを示す。
地方交付税は1845億円と前年度比で0・8%減り、国庫支出金も569億2400万円と、同6・5%減。県税収入の不足と合わせて財源不足の要因となった。このため、県の貯金に当たる財政調整基金から、昨年2月時点での予想額の5倍近い103億円を取り崩してしのぐことになるが、今年度中に77億円を基金に積み増したため、基金残高は前年度より26億円減の89億円で収まる見通しという。
一方、県債は785億円と前年度より59億円増加したが、うち57億円分は後に国が元利全額の返済を負担する「臨時財政対策債」で、本来は税収として確保される財源に当たる。臨財債を除いた県債の新規発行額は728億円と、歳出での県債の元金償還費を18億円下回り、これに伴って08年度末の県債の発行残高は07年度末よりも減って約1兆999億円となる見込みだ。
【歳出】
全体の3割ほどを占める人件費は07年度に比べると2・5%減と、2年ぶりの減少となった。県職員の給与などについての県人事委員会勧告の完全実施を見送ってボーナス増を凍結したことや、職員を引き続き削減したことなどが抑制につながった。
社会保障関連経費などの扶助費は同3・2%の増。補助費なども後期高齢者医療の財政安定化対策などのため社会保障関連経費が増加したことから0・2%増加した。
借金の返済分に当たる公債費は、県立日本海病院と酒田市立酒田病院が統合して一般地方独立行政法人として発足する「日本海総合病院」の関連県債を一般会計で引き受けるなどの増加要因はあったが、公債費平準化への取り組みなどが奏功して3・1%減少した。
一方、公共事業費は同2・0%減と12年連続のマイナスとなった。10年ほど前には単年度で2800億円を超えていた公共事業費は936億円にまで削減され、1977年度を下回る水準にまで落ち込んだ。
県民の不安を払しょくするために08年度予算で初めて設けた「ふるさと“やまがた”元気対策」枠では、橋や学校などの社会資本の長寿命化対策費を中心に約70億円を計上。子育てや若者対策など、県庁の部局横断的な対応が必要な15の政策課題に取り組む「総合政策推進予算」には、前年度並みの22億4800万円を盛り込んだ。
斎藤知事は15日の記者会見で、一般財源に対する義務的経費が占める割合を示す指標「義務経費率」を今回の予算編成から導入したことを説明し、「自由度の高い財政運営を目指して、義務経費率の圧縮に努める」と述べた。
【予算配分の特徴】
県の2008年度予算案をみると、財政状況が良かった時代に競って盛り込まれた目を引くような新規事業や、各事業への総花的な予算配分、文化ホールの建設といった「ハコ物」への支出はすっかり影を潜め、総じて地味な印象を与える。限られた財源を最大限有効に使うために苦心した跡がうかがえる。
配分額が大きかったのは「後期高齢者医療制度対策」(約121億円)、「中小企業への融資」(約546億円)、「医師の確保・定着推進策」(約2億円)などで、停滞する県内経済の活性化や、少子・高齢化対策に密接に関連したものが目立つ。
斎藤知事が15日の記者会見で「予算編成で最も重視した」と述べたのが、新規事業の「道路の長寿命化対策」(約48億円)。今後20年で、県が管理する橋の半数が築50年を経過するため、劣化・老朽化する前に補修し、耐用年数を30年延ばして90年にするというもので、知事は「道路を『造る』という概念から、『使い続ける』という概念へ発想の転換を図る」と強調した。財源を振り向けるのは、県民生活に必要な最低限の事業を優先せざるを得ないという苦しい台所事情を象徴する事例と言える。
記者会見で2008年度予算案について説明する斎藤知事 一方で、「山形セレクションの推進」や「東京にある県のアンテナショップの機能強化」「山形97号ブランド化戦略の推進」など、知事が特に力を入れる事業にも重点的に予算を配分した。
【解説】 「痛み」の手当ては・・・
斎藤知事は3年前の就任以来、地域経済の回復の遅れによる税収の低迷など、多くの制約の中で厳しい行財政運営を迫られてきた。「財政健全化」は県政の最優先課題であり、知事はこの間、県債発行残高を06年度決算で初めて減少に転換させ、08年度まで3年連続で減らせる可能性も出てきた。「小さな一歩だが、手応えをつかんでいる」。財政再建に向け、わずかだが光明が見えてきたというのが知事の認識だ。
だが、事実上1期目の仕上げとなる今回の予算案について、知事は「相当の金額を削減してきた。多方面から『痛み』の声が聞こえてくる。私もつらい。正直、なかなか満足できない」と、複雑な表情も見せる。財政再建のため推し進めた歳出カットは、各方面に「痛み」を強いる。「脱・悲観論」を08年のキーワードとして掲げ、「落胆していても仕方がない。県民の声にきめ細かに配慮したい」として編成された予算案が、実際にどこまで「痛み」を手当てできているのか、今後厳しく吟味されなければならない。08年度予算案は編成段階から、財源不足額が昨年2月時点での展望より97億円膨らんで390億円に達した。県税収入が07年度当初見込みより30億円近く減る一方、社会保障経費が今後も増大することなどが要因だ。経済の確かな回復の見通しは依然として立たず、人口減や少子高齢化は確実に進む。歳入不足・歳出増につながる圧力・要因は数多い。財政破たんの危機は常に伏在している。
光明も痛みも含め、予算案に表れた1期目の斎藤県政の取り組みは、来年の知事選で審判を受ける。(飯田雄太)
(2008年2月16日 読売新聞)
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