医療コストの地域差…大都市では赤字 診療報酬改善必要
病院や診療所の収入源となる診療報酬は、原則として全国一律です。物価や人件費が高く、コストのかかる東京都などでは、赤字の病院が増えており、見直しを求める声も出ています。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/jiten/20080110-OYT8T00364.htm
診療報酬は、手術や投薬などの医療行為ごとに細かく点数が決まっています。戦後間もなくまでは、大都市部などと地方では、1点の単価が異なっていました。しかし、医療機関が点数の高い都市に集中するといった弊害が出たため、全国一律1点10円に固定した上で、1963年に地域差を撤廃しました。
現在、入院基本料については、東京23区など人件費の高い地域には最高で180円の地域加算がありますが、入院収入の0・6%に過ぎません。
規模が大きい病院を例に地域差をみてみましょう。まず、コストの半分を占める給与費。東京警察病院経営企画課の藤原寿さんらの試算によると、100床のモデル病院を各都道府県で運営した場合、給与費は全国平均で月5984万円。最も高い福島県では6531万円、最も低い大分県では5449万円で、約1千万円の差がありました。医師や看護師、一般職員の給与に差があるためです。
また、入院費に影響する食料物価は、全国平均を100とすると東京都が108・7で最高。最も低い茨城、長野県とは約10ポイントの差がありました。
これらに、固定資産税などを加味した収支状況は、東京都が最も悪く、1か月で611万円の赤字。神奈川、埼玉県も赤字額が多くなっていました。逆に、人件費の安い大分県が530万円の黒字でトップ。佐賀、香川県が続きました。全日本病院協会が行った「2006年度 病院経営実態調査」でも、東京都では調査対象病院の61%が赤字で、全国平均の27%を大きく上回っています。
介護保険では、地域ごとに報酬単価を変えていますが、医療保険の地域加算は入院費に限られる上、金額が小さく、コストの地域格差の実情を反映しているとは言えません。このため、病院関係4団体は地域加算の見直しなどを求めています。
病院の勤務医不足などの“医療崩壊”を防ぐためにも、地域差に限らず、医療費コストを的確に反映した診療報酬が必要です。(阿部文彦)
(2008年1月10日 読売新聞)
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