悪循環招く医師不足 公的病院に再編の波
▽広島・島根・山口県内の4地域で計画 診療所移行・売却も
http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200712230235.html
広島、島根、山口県内で、医師不足が引き金となり、公的病院の再編計画が相次いでいる。二〇〇四年度からの新臨床研修制度の影響で、医師確保がさらに困難になり、病院収支も悪化した。過疎地域では統合予定先の中核病院も医師不足が深刻で、医療崩壊の危機にある。
計画のある四カ所のうち広島県安芸太田町、島根県津和野町、山陽小野田市の三カ所は、市町村合併に伴う病院統合の色彩が強い。三原市立くい市民病院と公立世羅中央病院(広島県世羅町)は、内容は未定だが、市町境をまたいでの再編を模索する。
縮小再編の対象となる四病院とも、大学医局が医師を引き揚げたり、退職者の後任が派遣されなかったりして医師不足に陥った。新臨床研修制度の導入で医師の医局離れが進み、医師配置の調整が逼迫(ひっぱく)したためだ。
津和野町の日原共存病院は今春まで常勤医三人だったが、九月までに二人が島根大医局に移り院長一人に。十一月から診療所と老人保健施設に移行した。
安芸太田町の町戸河内病院は、三月に一人が退職、もう一人が病気で復帰不能となり、常勤医一人に。七月から入院病棟を閉鎖した。診療所と介護施設に再編する計画は、旧戸河内町住民の反対で宙に浮いている。
くい市民病院は定数四・六人に対し、十月から常勤三人に。広島大医局からの応援で当直を維持するが、収支は悪化している。山陽小野田市の山陽市民病院は、常勤医は〇五年三月の合併時から半減して六人になり、採算悪化で負債が拡大。施設も老朽化し、来年三月末で機能停止して民間医療機関に売る方針だ。
山陽小野田市以外は、医師確保が前から難しい過疎地域。再編で中核病院と位置づけられる側も医師不足が深刻だ。くい市民病院の移管先になりそうな世羅中央病院の常勤医は定数の半分の六人。安芸太田町加計病院も欠員二人である。
津和野共存病院は二年余り前まで十一人だった常勤医が今春までに五人に急減し、昨年十二月には救急認定も取り下げた。日原を含む両共存病院を経営していた石西厚生連は収益悪化で行き詰まり、津和野町が公設民営方式で運営を継続することになった。
再編予定の両医療機関の間の距離は、津和野町内の約十二キロを別にすれば、他は六―七キロ。津和野町は患者輸送バスを走らせ、他市町もアクセスについて検討中。
広島県医療対策室の鹿田一成室長は「現在の医療資源で地域医療を守るには病院機能の集約が必要で、住民の理解をどう得るかが課題」と言う。総務省は、ベッド稼働率が三年連続で70%未満の公立病院には診療所への格下げなどを求める指針をまとめるなど、経営改善の圧力も強まる。医師確保の抜本策が見えない中、病院再編への対応は過疎自治体に重くのしかかっている。(編集委員室長・山城滋)
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