財政サイド「診療報酬引き下げで一致」
財政サイド「診療報酬引き下げで一致」
財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」は11月8日までに、2008年度予算で診療報酬を引き下げる方針で一致した。11月中にまとめる建議に盛り込む。診療報酬は、01年に発足した小泉内閣の「(医療)構造改革」の下で、前回(06年度)改定で過去最大となる3.16%の引き下げが実施されるなどマイナス改定が相次いでおり、08年度改定でも引き下げられると、4回連続の減となる。これに対し、日本医師会や全国保険医団体連合会などは診療報酬のプラス改定を要求しており、財政サイドの動きに反発を強めている。
http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=12936
診療報酬は、医療保険から医療機関に支払われる治療費で、すべての医療行為について1点10円の点数が決められている。原則2年ごとに厚生労働大臣の諮問機関「中央社会保険医療協議会」で審議され、改定が実施される。
診療報酬をめぐっては、特に小泉内閣の下で、02年にはマイナス2.7%、04年にはマイナス1.05%、06年には過去最大のマイナス3.16%と、3回連続のマイナス改定となっている。
財務省は11月5日、薬価引き下げに上乗せして、診療報酬の本体部分だけで最大3.6%の引き下げが必要という試算を提示。同省は、1%の引き下げで国庫負担を約800億円削減できるとしており、4%規模になれば、国庫負担で約3,200億円の削減となり、国民医療費ベースでは1兆3,000億円に上る大幅な削減になる。
社会保障費に関しては、「構造改革」路線の一環として、08年度予算の概算要求基準(シーリング)で2,200億円の圧縮を決定。これについて、厚労省は政府管掌健康保険への国庫負担削減と薬価引き下げで実現する方針を固めているが、財務省は診療報酬自体を引き下げることで、圧縮幅をさらに拡大することを見込んでいる。
<反発強める医療関連団体>
こうした医療費抑制を進める国に対し、医療関連団体が反発。
日医は「過去のマイナス改定で医療機関の倒産や病床の縮小など〝医療崩壊〟が現実化している」と批判し、08年度の改定で5.7%の引き上げを求める緊急要望を発表している。
また、保団連は相次ぐマイナス改定で「医療機関は必要な機材・機器の更新さえままならない状態に陥り、医師不足・看護師不足による医療提供体制の崩壊も起きている」と警告。「必要な医療を提供するための医療費を確保するためには、少なくとも7.25%の診療報酬引き上げを要する」と訴えている。
財務省が財政審に提出した試算に関し、保団連は4つの問題点を指摘。
医療機関の経営者や職員の人件費相当を、年齢分布も職種も異なる公務員給与と機械的に比較し、非正規雇用が広がる中での賃金減を前提に、それと同列に医療を効率化するもの▽薬価・治療材料等は00年度から4回連続のマイナス改定で累計マイナス5.9%になり、診療報酬本体を含めて既に6.7%もの大幅な引き下げを実施。試算で示した「賃金・物価」のマイナス4.4%を超える低下率であることを意図的に無視している▽医療材料・機器は諸外国の価格に比べ突出していることは厚労省等の調査からも明らか。高すぎる薬価や医療材料・機器にメスを入れ、製薬企業などの高利潤構造を是正すべき▽手術料や初診料などの技術料は、諸外国と比べて日本が低いというデータも公表されているが、試算では「医療経済実態調査」の速報値を恣意的に利用して引き下げを主張している-などとし、「財務省方針に基づいて、これ以上、診療報酬を引き下げることは、国民皆保険制度を支えている基盤を根底から揺るがすことになる」と批判している。
スポンサードリンク