診療報酬少なくとも7.25%上げ不可欠
「診療報酬少なくとも7.25%上げ不可欠」
「必要な医療が健康保険証で受けられるために」-。全国保険医団体連合会はこのほど、月刊保団連の臨時増刊号「2008年改定に対する医科・歯科診療報酬要求」を発行した。「現在の診療報酬は、十分ではない」と指摘。各地で起きている〝医療崩壊〟の最大の要因は、1980年代以降の政府の相次ぐ医療費抑制・診療報酬マイナス改定にあるとして「少なくとも7.25%の診療報酬引き上げを要望する」と強調している。
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08年改定の在り方を考える前に、保団連は前回(06年)改定の問題点を検証。「80年代以降、政府の公的医療費抑制策が顕著になり、81年を100とした場合の現金給与総額指数(従業員30人以上でパートを含む)が06年には144.49%、また、消費者物価指数は124.44%になっているのに対し、診療報酬総枠改定率は98.35%に落ち込んでいる」ことを挙げている。
特に、01年に発足した小泉内閣のもとで、02年マイナス2.7%、04年マイナス1.05%、06年マイナス3.16%という3回連続のマイナス改定が実施され、「医療機関は必要な機材・機器の更新さえままならない状態に陥り、医師不足・看護師不足による医療提供体制の崩壊も起きている」と警告している。
こうした状況等を踏まえ、保団連は08年改定に対する要求を検討した。
保団連は、欧米諸国に比べて技術料が全般的に低く抑えられている▽GDP(国内総生産)に占める医療費の割合も歴史的に低い水準にあった▽00年からの小泉「構造改革」で、さらに医療費の抑制策が進められ、国民皆保険が空洞化している-ことを挙げ、「現在の診療報酬は、医療機関の健全経営を維持する点からも、患者・国民の医療を受ける権利を保障する面においても十分ではない」と批判している。
その上で「今日の〝医療崩壊〟をもたらした最大の要因は、1980年代以降の政府の相次ぐ医療費抑制・診療報酬マイナス改定にある」とし、「必要な医療を提供するための医療費を確保するためには、緊急な対応が不可欠。医療の質を確保するためには、少なくとも7.25%の診療報酬引き上げを要望する」と訴えている。
このような基本的な考え方に基づき、保団連は08年改定に当たり、「政府・財界が進める公的保険の範囲縮小と医療費の削減、患者負担の増大ではなく、医療保険を充実させ、『いつでも、どこでも、誰でもが、必要な医療を受けられる』診療報酬体系にする」ことを強く望んでいる。
具体的には、勤務医の厳しい労働環境の改善を理由に、開業医の診療報酬引き下げや労働強化を行わない▽薬価・材料価格にメスを入れ、正当な価格設定に引き下げる-ことをはじめ、06年改定でもたらされた①リハビリの日数制限の廃止②歯科の医学管理料における文書提供義務化の廃止③医療療養病床における医療区分1の診療報酬を医師・看護職員をはじめとした人件費や医療提供にかかわる諸経費を保証できるように引き上げる-こと等も要求。これらに加え、医科・歯科のそれぞれで医療現場の改善につながる多様な要求を挙げている。
「診療報酬5.7%の引き上げ必要」
http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=12753
「過去のマイナス改定で医療機関の倒産や病床の縮小など〝医療崩壊〟が現実化している」として、日本医師会は10月30日、来年度の改定で診療報酬の5.7%の引き上げを求める緊急要望を発表した。日本の医療費について、中長期的には対GDP(国内総生産)総医療費を先進国並みに高める必要性も強調している。
最近の医業経営の実態に関し、日医は、経営の安定性を示す「損益分岐点比率」が民間医療機関で約95%となり、〝危険水域〟と言われる90%台に突入していることに触れ、「国公立病院を含めた場合、病院では100%超と赤字に陥っている」と指摘。収益性についても、病院・診療所の医業収入と経常利益がともに減収減益になっていることを示すなど、医業の厳しい経営状況を挙げている。
加えて、2000年度以降マイナス改定が続いたことから、診療報酬は98年度に比べ、6.5ポイント低下した上、04年度以降は経済の伸びも下回っていることを問題視。「過去の厳しいマイナス改定により、医療機関の倒産や病床の縮小など〝医療崩壊〟が現実化している。地域医療の崩壊を食い止め、フリーアクセスを堅持するためには、(来年度の改定で)診療報酬の5.7%の引き上げを要望する」と主張している。
具体的には、日本の医療機関は全体で「赤字」であり、07年の倒産は9月までで39件に上り、既に過去最高だった06年の30件を上回っていることから、「地域医療を支えるためのコスト」として9,600億円・約3.8%の引き上げを要求。また、国民のニーズが高まっていながら、ほとんど評価されていない「国民の安心を守るためのコスト」という観点から2,200億円・約0.9%アップさせる必要性を指摘している。さらに、日本の医療は医療従事者の〝ボランティア精神〟で持ちこたえてきたものの、現場は疲弊し、特定の診療科からの撤退も続出。優秀な人材や良質の医薬品・医療機器等が不可欠として「医療の質を確保するためのコスト」という視点から2,700億円・約1.1%の引き上げを求めている。
このほか、医師不足対策・医師の就労環境改善などに関しては、一般財源による措置の拡充を要請。中長期的には、日本の医療費について対GDP総医療費を先進国並みに高める必要性を示している。
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